腹腔鏡手術
腎臓や尿管、膀胱、前立腺といった内臓に対する手術は昔からある開腹手術の方法がありますが、傷が大きく、出血量が比較的多く、術式によっては自分の血液を貯めておき(自己血輸血)、手術が行われるケースがありました。
1990年代に腹腔鏡手術が導入され、従来の開腹手術と比べて、傷が小さい、出血が少ないという利点、術野を拡大して見ることができるなどのメリットが多くあり、今では標準的な方法です。
近年は術式によっては腹腔鏡手術がさらに進化したロボット支援手術が行われています。
腹部に10mmほどのポートと呼ばれる器具を腹部に挿入するための穴を作成します。そこからカメラや、先端にハサミや電気メスをつけた細長い鉗子(かんし)と呼ばれる器具を挿入します。鉗子を医師が直接持って操作し手術を行う方法です。
ロボット支援手術ではなく腹腔鏡手術のメリットは多くはありませんが、腹腔鏡手術でも十分確実、安全に手術が行える場合には、コストの安い腹腔鏡手術が選択されます。
以下のような術式があります。
- 腎がんに対する腹腔鏡下腎摘、腹腔鏡下腎部分切除
- 腎盂尿管がんに対する腹腔鏡下腎尿管全摘
- 膀胱がんに対する腹腔鏡下膀胱全摘+尿路変向術
- 副腎腫瘍(良性を含む)に対する腹腔鏡下副腎摘除
- 腎盂尿管移行部狭窄症に対する腹腔鏡下腎盂形成術
どれもロボット支援手術でも可能です。腫瘍の場所、大きさなどの状況をみて選択されます。
ロボット手術での保険適応がない以下の術式では腹腔鏡手術が選択されます。
- 腹腔鏡下尿管膀胱新吻合
- 腹腔鏡下尿膜管摘除
- 腹腔鏡下後腹膜腫瘍摘除 など